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光の道を辿る家・Trace of Lights

光の道を辿る家・Trace of Lights

2019/09/19

衝動買いしたソファーが教えてくれた、適材適所


海外映画に登場する、古き良き時代のキャンパスを髣髴とさせる佇まい。「ちょっと日本にない感じ」の敷地内に立ち並ぶ、複数のレジデンス。どの棟も蔦が似合いそうな、レトロなレンガタイル張りです。「外観はあまり重視していなかった」のに、「やっぱり大事かも」と思い直し、物件選びの際、建物の外装も決め手のひとつになったと振り返るS夫妻。
夫のKさんは30代、妻のHさんは20代。結婚して2年半。これから家族が増えることを考え、最初は新築物件を物色していたそうですが、建売りマンションにありがちな、いわゆるナチュラルテイストのキレイ目モデルルームの雰囲気に「あまり馴染めなかった」とか。
そんな折、Kさんの上司が「リノベした」と聞き、「そんな方法もあるのか」と興味を持ち、リサーチを開始。SUVAKOというポータルサイト経由で4社ほどのリノベ会社に辿りつき、事例を見比べ会社説明会にも参加。比較検討の結果、howzlifeを選んだ理由は「好みのテイストを実現するための予算と希望の見積が合致したから」

何事もきっちり予算組みをし、周到に計画を立てていく方たちなのだな、と感心していると「契約が済んで、リノベの打ち合わせ段階でずっと欲しかったソファーをつい衝動買いしてしまって……。たぶん、舞い上がっていたんです」という、微笑ましい告白も。
購入後、倉庫で預かりサービスを利用し、搬入を3か月後にしてもらったものの、一ヶ月延長して追加料金の1000円を没収されたとか。ところが、実はこの衝動買いがのちのち、S夫妻のリノベをよい方向に導くことになるのです。 早速、詳しく見ていくことにしましょう。

■リノベのツボ ~S夫妻のCASE STUDY~
1.家具の配置を具体的にイメージして間取りを設計
2.コンセントは多いくらいでちょうどいい
3.後出しじゃんけんをこわがらない


「家の中に窓がある!」と、友達がビックリする
◆玄関

入室してまず、目に飛び込んでくるのが、内窓付きのキッチンです。キッチンの背面にある外窓とキッチンの内窓が一直線につながり、玄関に自然光がやわらかく射しこんでいます。
「リノベ前は玄関入ってすぐ壁だったんです。廊下は電気を点けないとならないほど暗かったので、なんとかここに自然光を採光できないかと悩みました」
担当デザイナーの林さんに内窓の事例を見せてもらい、「これなら自然な形で明るくできると思いました」無事、悩みは解消され、いまでは遊びにきた「友達に『家の中に窓がある!』とビックリされますね」


エントランスの床はモルタル仕上げ。キッチンにつながる内窓の手前にパーテーションを挟み、ちょっと奥まったスペースにシューズインクローゼットを確保。
SICは夫のKさんが「せっかくリノベをするなら絶対につくりたい」と思っていた空間。適度に奥まった感じが隠れ家っぽくて気に入っているのだとか。「howzlifeにわがままをいって叶えてもらいました」
わがまま、というのは、もともとは洗面台に面したブロックを壊し、スペースを確保した
かなり「攻め」の設計だったから。可動式の靴棚は造作。採光を叶えつつ、キッチンからは靴が見えないようにパーテーションには曇りガラスを。
細めでスタイリッシュなアイアンの窓枠。この窓枠をイメージ通りにするまでには試行錯誤があった模様。
「最初は木枠も考えたんです。そうすると木枠を支えるためにアイアンの部分が太くなって、ピンと来なくて。アイアンは細い方がシャープだと気づくまで何度か提案してもらいました」
アイアンの窓枠の下に造作された収納棚はルーバー健具で目隠しを。シンクを臨むカウンターには結婚のお祝いにイラストレーターの方に描いてもらったという家族の肖像イラストや新婚旅行で訪れたニューヨークで購入した思い出の品が仲良く並んでいました。


思い描いていた「インダストリアルな感じ」が形になった空間
◆キッチン&ダイニング

キッチンはHさんがいちばんのお気に入りの場所。躯体表しの天井に剥き出しのダクト。ふたりが思い描いた「理想のインダストリアル感」が集結する場所でもあります。 
「この家に越して来てからふたりで料理をする機会がふえました」出かけることが多かった週末も土日のどちらかは必ず家で過ごすことが自然に定着した、とも。シンクで洗い物をしている時でも、帰宅したKさんを笑顔で迎えられることも「気に入っている」。
内窓を採用するためにシンクやレンジの向きを変更し、ダクトも後付けした。このダクトが「いい感じ」にインダストリアル感を醸しています。
当初、パントリーをつくることも検討したものの、背面収納を造作することを選択したのは、スペースを確保したかったから。食器棚の造作は予算との折り合いで諦め、この家に似合う既成品を買い揃えることで賢くコストダウンを。
バルコニーからはレジデンスの連なりが望め、レトロなレンガブロックの外観を家から眺める楽しみも。「友達を呼びたくなるし、自慢したくなる家です」とKさん。
「風通しがよくて気持ちがいいですよ。洗濯物もすぐ乾きます。風が抜ける感じが気に入っているので、カーテンはほとんど閉めません」


家具を起点に考えると、新しい暮らしがイメージしやすい
◆リビング

昼はサンルームからの陽射しを満喫し、夜は寛ぎながらバータイムを楽しむ。ここは、Kさんにとって「いちばん落ち着ける場所」であり、「いちばんお気に入りの場所」でもある。
「舞い上がって、衝動買い」した例のソファーもきっちりおさまりよく、リビングに鎮座しています。
「結果的に、ソファーありきだったので、空間をイメージしやすかったこともあるんです。たとえば、立ったり、座ったりズムーズに動けるか、腰かけたまま手を伸ばせる位置にコンセントがあるなど、ある意味、ソファーが先にあったから、生活動線を具体的に思い描くことができたといえるかも」

間取り図を頼りに頭の中で「住まう自分たちを想像するのは、案外難しいことかもしれません。それよりもこれから一緒に時間を過ごすモノたちを起点に考えてみる。そんな発想からはじまるリノベもアリです。

「ジャーナルスタンダードファニチャーの雰囲気作りが好きで、家具を起点にイメージづくりの参考にずいぶんさせてもらいましたね」(Kさん)

「この家具を置きたいから、ここの幅を詰めてとか、このくらいの広さの確保をお願いしますと設計の段階でオーダーできたのは楽だったかもしれません」(Hさん)

おかげで、引っ越しと同時に新調した家具を搬入することができ、翌日からは不便なく新しい家での生活をはじめられたといいます。そのありがたみは引っ越した後に、実感することもあったそう。

ダイニングから続く床面はウォルナット色のナラを選択。「本当はヘリンボーン貼りにしたかったけれど」コストのバランスを考え、やむなく断念したとHさんは悔しがります。

窓に面した収納扉。普段は開かずの扉なので、言われなければ気づきませんが、実は給湯器入れ。ちょうど給湯器交換のタイミングでこのスペースを見直したところ、天井に伸びる上の部分に空きスペースがあったので、「収納として活用できないか」とKさんが担当デザイナーの林さんにもちかけ、収納スペースを確保。季節ごとに使用頻度が減るあれこれを見えない場所に片付けられて本当に重宝しているそう。


◆ウォークインクローゼット

フックをかけられるように、造作した有孔ボードをはじめ、入れたいものを計画して、細部に至るまで寸法調整してつくられたウォークインクローゼット。どうやら、ここは妻のHさんのこだわりどころだったよう。希望をすべてかなえようとするとどうしても予算オーバーになってしまうので、unicoで調達したといいます。「この棚をここに入れたいので、それにぴったり合った左右幅や奥行にしてください」とオーダー。ソファーで得た教訓がここでも活かされていました。「いま思えば、引っ越した後に間取りから配置できる家具やストレージを探しに行くよりかえって楽だったかもしれません」とHさんは満足そうです。
入口、内側の壁に設えられたアイアンハンガー。「ここにかける、ちょうどいいカーテンがまだみつからなくて」買い出す楽しみが適度に残されているのもいいですね。


◆洗面所&脱衣所&バスルーム
洗面の天井に、お客様が洗濯ものを干すための小さなサイズのホスクリーンがつけられていました。「とにかく人を呼べる家にしたかった」と口を揃えて話す、S夫妻のゲストに対する思いやりがこんな細部にも宿っていました。
盲点だったのはコンセントの位置。「ヘアドライヤー用にと、洗面台脇にヘアドライヤー専用のコンセントをつけてもらったのに、この位置だと、ドライヤーのコードが水場にわしゃっ~と絡まって使いにかった。掃除機専用として床近につけてもらった位置のほうが便利だと後から気づき、いまではそちらにドライヤーのプラグをつなぎっぱなしです」

ひとつひとつ振り返るうちに、Hさんがこんなことを思い出しました。
「そういえば、洗濯機の高さを私たちが見当違いしていたみたいで。リノベが終わりかけのタイミングで棚の高さを変更してもらいましたっけ」 
なんだか後出しじゃんけんみたいで「一瞬、伝えることを迷った」そう。「でも、後悔するよりダメもとで言ってみよう」と思い直し、勇気を出して担当デザイナーの林さんに相談。結果、「やっぱり相談してよかったです」
ちなみに林さん曰く、「希望を何でも伝え合えることがリノベ成功の大事なポイント。お客様が言葉を飲み込み始めた時は私達にとっても要注意のサインと心得ているそう。


◆トイレ

リビングで果たせなかったヘリンボーンの床をここでリベンジ採用! 壁紙が全面色付きというあたり、おふたりの個性が光ります。


◆子ども部屋
やがてこの部屋の持ち主となる未来のお子様のためのサンクチュアリにぴったりの、ロールスクリーンから差し込む柔らかい光。おしゃれな出窓のある子ども部屋とは羨ましい。
現状は、仕事服置き場になっているとのこと。床は木目調のフロアタイル、壁はクロス貼りをチョイス。


◆主寝室

シンプルなベッドの脇にある本棚は前の家で使っていたもの。いまはそのまま使っているけれど「本当は机を入れて、ちょっとした書斎にようにしたいんですが」とKさん。
この部屋は照明器具も含め、まだまだ開発途上中なのだそう。ふと気になったのが、コンセントの多さ。「それぞれ枕元でスマホの充電ができるように」とベッドサイドの両脇にコンセントが。「せっかくリノベをしたのに、延長コードが丸見えの生活動線ではかなしいので」とデザイナーの林さんからの提案だそう。「コンセントと生活動線。この発想は言われてみないとなかなか気づけないのでありがたかったです。むしろ、多いくらいでちょうどいいです」


◆リノベーションを終えて 
「もしも、これからリノベを考えている方にアドバイスできるとしたら。家具を新調するなら、図面に合わせて揃えるのではなく、欲しい家具を先に決めて間取りの設計を相談するのをお勧めします。住んでいる自分達がとても具体的にイメージできます」(Kさん)
「不満がなかったのがよかったです。自分達の希望通りの家ができたから、不満がないということもありますが、リノベ中のプロセスにおいてもストレスがなかったのがよかったです。洗濯機の棚の高さの変更は、一瞬お願いしようかどうしようか迷いましたけど、やはり、言いたいことは言ってみるのがたいせつ。言わないで後悔するのはもったいないですからね」(Hさん)

(◎写真 花井智子 ◎ライター 砂塚美穂)