後悔しない!床暖房のリフォームで使える補助金ガイド

床暖房は足元から部屋全体を暖める快適な暖房設備ですが、設置費用が高額になりやすい点で躊躇する方も多いです。
リフォームで床暖房を導入する際には、国や自治体が用意している補助金制度を上手に活用すると、初期費用を抑えられる可能性があります。

2025年も住宅省エネキャンペーンなどでリフォーム向けの補助金が実施されており、床暖房リフォームでも間接的に対象となるケースがあります。

本記事では、床暖房リフォームで使える主な補助金制度とそのポイントをわかりやすく解説します。

床暖房リフォームで使える補助金制度

床暖房リフォーム自体を直接対象とする補助金制度は少ないものの、省エネや断熱向上を目的としたリフォームの一環であれば補助金が利用できます。主に次のような補助事業が床暖房リフォームに関連します。

  • 既存住宅の断熱リフォーム支援事業
  • 次世代省エネ建材実証支援事業
  • 子育てグリーン住宅支援事業(リフォーム)
  • 長期優良住宅化リフォーム推進事業
  • 給湯省エネ2025事業
  • 各自治体のリフォーム助成金・補助金

これらの制度を活用すると、床暖房の導入と同時に床や壁の断熱改修を行った場合などに補助金が下りる可能性があります。次節以降で各制度の概要と適用条件、申請のポイントを紹介します。

補助金の対象となる床暖房リフォーム工事

床暖房の導入だけでは補助金対象にならないことが多く、床暖房を含めて断熱改修工事を行うケースで補助対象となることが一般的です。たとえば、床下に断熱材を施したり防音性・断熱性の高い床材を重ね張りしたりすると、床や躯体部分の断熱改修工事として認められます。

また、リビングや廊下など人が集まる場所だけ床暖房にし、他の箇所は省エネ工事(窓交換や壁の断熱等)を行うことで、補助対象工事として要件を満たすことも可能です。
制度ごとに必要な工事内容が異なるため、申請前に対象工事や併用条件を確認しましょう。

補助金を受けるメリットと注意点

補助金を活用するメリットは、工事費用の実質負担を軽減できる点です。高額になりがちな床暖房リフォームでも、窓改修や断熱工事とのセット工事で補助金が受けられれば、トータル費用の抑制につながります。さらにあらかじめ断熱性能を高めることで暖房効率が上がり、光熱費の節約や快適性の向上も期待できます。

ただし、補助金には申請期間や予算上限があり、受付終了後は受けられなくなる点に注意が必要です。また、補助対象となる工事や必要書類も制度ごとに異なるため、事前に施工業者とも連携して要件を確認しておきましょう。
ポイント:補助金の申請は工事着手前に行う必要があります。工事完了後では申請できない制度がほとんどなので、リフォーム計画と平行して制度の検討・手続きを進めてください。

既存住宅断熱リフォーム支援事業の概要

既存住宅の断熱リフォーム支援事業は、一般社団法人や財団が事務局となり、戸建て・マンションの断熱リフォームに対して補助金を支給する制度です。

対象工事は窓、外壁、天井・屋根や床など建物躯体の断熱改修です。例えば床暖房を導入する際に床下に断熱材を追加すれば対象工事に該当します。
補助金額は補助対象経費の1/3または1/2(事務局により異なる)で、戸建ての場合は上限120万円程度が設定されています。マンションは戸建てより上限が低く設定されることが多いです。
申請期間は公募形式で、年度や事務局によって年数回募集があります。

事業概要と対象工事

この制度では、既存住宅の断熱性能を高める工事が主な対象です。窓ガラスの断熱交換、潜熱蓄熱建材の導入、床下への断熱材施工などが挙げられます。床暖房の後付けも、床断熱工事とセットで行えば補助対象となります。

補助金額と上限

補助金額は通常、工事費用の3分の1が助成対象となります。上限額は戸建て住宅で概ね100~120万円程度、マンションで10~20万円程度です(事務局により異なります)。この補助金で床暖房そのものに直接補助されるわけではありませんが、床断熱材の施工などを同時に行えばトータルの補助額が増えます。

床暖房設置時の活用方法

床暖房設置時は、既存床の撤去と断熱材の施工を同時に行うことが多いです。この場合、断熱施工部分を申請対象とすることで補助を受けられます。また、断熱材の種類や性能によって補助額が変わる場合があるため、高性能な材料を選ぶとより多くの補助が受けられることもあります。施工前に事務局に問い合わせ、必要書類と照らし合わせて計画を立てましょう。

次世代省エネ建材実証支援事業の概要

次世代省エネ建材実証支援事業は、登録された省エネ建材を使用するリフォーム工事に対して補助金が支給される制度です。主に外張り断熱、内張り断熱、窓断熱の3区分があり、内張り断熱では床下の断熱材追加が該当します。

概要と対象工事

この事業は環境共創イニシアチブ(SII)が実施しています。対象工事には、断熱パネルや潜熱蓄熱建材の導入、窓の交換・内窓取り付けなどが含まれます。床暖房リフォームの場合、床下断熱材の施工を「内張り断熱」に組み込めば申請対象となります。

補助金額と募集期間

補助額は工事費用の1/2程度が補助対象となり、戸建てでは上限200万円(マンション125万円)程度まで補助されます。令和6年度(2024年度)も公募が行われており、一次・二次募集が実施されました。予算枠に達すると募集は終了するため、リフォーム予定の年度に公募があるかを事前にチェックしておきましょう。

床暖房リフォームでの活用

床暖房の設置に合わせて床下に断熱材を施工する工事はこの補助金の対象になります。特に内窓や断熱パネルなど他の省エネ工事とあわせて行う場合、補助額を最大限活用できます。ただし本事業の応募には省エネ建材の登録が必要なので、施工業者と相談して計画を進めると安心です。

子育てグリーン住宅支援事業(リフォーム)の概要

子育てグリーン住宅支援事業は省エネ性能の高い住宅リフォームに対して補助金を支給する制度で、2024年度までの「こどもエコ住宅支援事業」の後継です。リフォーム対象に断熱改修やエコ設備の導入などが含まれています。

事業内容と対象者

この制度は国土交通省と環境省が実施し、すべての世帯が対象です。リフォームの場合、断熱改修や高効率給湯器のほかバリアフリー改修や子育て対応改修も対象になります。子育て世代に限定されていない点が特徴です。

対象リフォーム工事の範囲

対象となる工事は①窓の断熱改修、②外壁・屋根・天井または床の断熱改修、③エコ住宅設備の設置、④バリアフリー改修など多岐にわたります。床暖房リフォームでは床の断熱改修(床下に断熱材を追加する工事)を行うと、②の対象になります。またエコキュートや高断熱浴槽に替える場合は③にも該当します。

補助金額と申請条件

リフォームそのものは単独では補助対象とならず、必須工事の組み合わせが必要です。Sタイプ(必須工事3種類すべて実施)であれば戸建て上限60万円、Aタイプ(必須工事2種類実施)で上限40万円が補助額となります。補助金額は工事規模に応じて5万円単位で支給されます。

床暖房リフォームでの活用法

床暖房の導入時に床下断熱を行えば、必須工事②に該当し補助対象となります。仮にページヒーターチェンジや床板張替えと合わせて実施すれば、Sタイプの要件を満たすことも可能です。補助金を利用するには、断熱改修や高効率設備の組み合わせで必須工事を満たす計画を立てることが重要です。

長期優良住宅化リフォーム推進事業の概要

長期優良住宅化リフォーム推進事業は、既存住宅の耐久性・省エネ性向上を目的としたリフォームに補助金を支給する制度です。インスペクション(建物診断)実施が申請要件になりますが、幅広い工事が対象となります。

事業概要

対象住宅は戸建て・共同住宅で、省エネ改修工事や耐震改修、バリアフリー改修などが補助対象です。主にはリフォーム費用の1/3が補助され、戸建ての上限は80万円(基準適合型)です。追加要件を満たせば補助金が上積みされる可能性もあります。

対象となる工事と補助内容

省エネ分野では、内窓設置、高断熱浴槽設置、断熱材の充填などが対象です。床暖房を導入する際は、ガス床暖房の場合に限りガス給湯機の設置が対象工事として認められます。電気式床暖房のみでは対象となりませんが、断熱工事など他の対象工事を組み合わせれば補助が受けられるケースがあります。

床暖房設置時の注意点

長期優良化リフォームでは電気式床暖房に対応する給湯設備の交換が必要です。電気式床暖房は給湯器が不要なので直接の補助対象にはなりません。床暖房を導入する場合は、給湯器の省エネ改修や窓・壁の断熱工事など他の補助対象工事とあわせて計画すると良いでしょう。

給湯省エネ2025事業による補助制度

給湯省エネ2025事業は、高効率給湯器(エコキュート、エネファーム、ハイブリッド給湯器)の導入に対する補助金制度です。家庭用給湯器の省エネ化を支援するもので、戸建ても集合住宅も対象になります。

事業概要

対象となるのは省エネ性能の高い給湯設備の新設・交換工事です。補助額は設置する給湯器の種類によって異なり、一般的には1台につき数万円から十数万円の範囲です。令和7年度(2025年度)の募集は2025年3月に開始され、予算上限に達し次第締め切られます。

対象となる給湯設備

エコキュート(ヒートポンプ給湯機)、エネファーム(家庭用燃料電池)、高効率型のエコジョーズ(ガス給湯器)などが対象です。ガス温水床暖房を支えるガス給湯器も該当するため、床暖房リフォームと同時に給湯器を省エネ機種に替えると補助が受けられます。

床暖房導入との関連性

床暖房リフォームではガス式温水床暖房を選択する場合、古いガス給湯器からエコジョーズへの交換を補助対象にできます。補助金を利用すれば給湯器の導入費用を抑えられます。ただし電気式床暖房の場合は給湯器を使わないため、この制度の対象外となる点に注意しましょう。

地方自治体の補助金・助成金制度

国の制度に加え、各自治体でも独自のリフォーム助成や補助金を実施していることがあります。自治体ごとに対象工事や補助額が異なるため、お住まいの市区町村役場のウェブサイトなどで確認する必要があります。

自治体補助金の特徴

多くの自治体補助金は、省エネ改修やバリアフリー改修、防災対策などを目的としています。中には床暖房を条件に含むものもあり、たとえば住宅の断熱改修工事を行う際に限り脱衣所・トイレへの床暖房設置を対象とする自治体もあります。

対象となる工事例

例として奈良県橿原市の事例では、住宅の窓断熱改修工事を必須とし、加えて床・天井・壁の断熱改修を実施する場合に最大50万円の補助が受けられます。この制度では、脱衣所やトイレに床暖房設備を設置すれば補助対象になるため、床暖房リフォームと組み合わせてメリットが得られます。

補助金情報の探し方

自治体の補助金情報は各市区町村の公式サイトや広報誌で案内されます。補助金は年度ごとに内容が変わる場合が多いので、最新の募集要項を確認しましょう。リフォーム会社や行政窓口に相談してお住まいの地域で使える制度を調べてもらうのもおすすめです。

補助金申請のポイントと注意点

補助金を申請する際は、まず申請先となる制度の対象工事や申請期間をよく確認しましょう。必要書類には工事費の見積書や工事内容の説明書、住民票などが多く、制度によって提出先が異なります。工事開始前に交付決定を受けられるよう、余裕を持って手続きを進めてください。

申請の手順と必要書類

一般的な申請手順は以下の通りです。

  1. 各補助金制度の対象工事を確認し、リフォーム業者と詳細内容を打ち合わせる。
  2. 補助金申請書類を準備する。専門の申請書のほか、工事契約書や見積書、建物の登記事項証明書などが必要になる場合が多い。
  3. 所管する自治体や事務局に申請書を提出して審査を受ける。交付決定後に着工し、工事完了後に実績報告を行う。

予算枠と申請期限

補助金にはそれぞれ予算上限が設定されています。多くの場合、年間の予算が尽きると応募期間内でも受付が終了します。また、申請時期も自治体や事務局により異なるため、早めに情報収集することが大切です。早めの申請や、リフォーム業者への相談を行い、スケジュールに余裕をもって計画を立てましょう。

注意すべきポイント

例えば、電気式の床暖房は給湯器が不要なため、「給湯省エネ2025事業」には適用されません。各制度の対象外条件や施工後の報告義務も確認しておく必要があります。
また、補助金を受けるには申請から交付通知、工事完了報告まで申請者が責任を持って手続きを行う必要があります。制度ごとに決められた期限までに忘れず報告することが重要です。

ワンポイント:補助金によっては必須工事の組み合わせや申請資格が細かく定められています。床暖房リフォームを検討する際は、対象となる補助金の要件を事前に確認し、リフォームプランを立てましょう。

まとめ

床暖房リフォームで補助金を受けるには、床暖房自体よりも断熱改修や省エネ設備の導入が重要となります。既存住宅断熱支援事業や子育てグリーン住宅支援事業、高効率給湯器導入補助などを組み合わせることで、費用負担を大きく軽減できます。

申請条件や施工時期には注意しつつ、住まいの省エネ性能を高めながらお得に床暖房リフォームを実現しましょう。

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