内窓とガラス交換、どっちが得か?徹底比較ガイド

窓の断熱や防音対策を検討する際、「内窓設置とガラス交換はどちらが効果的なのか?」と迷う人は多いでしょう。内窓(二重窓)は室内側にもう一枚窓を増やす工事で、ガラス交換は既存窓枠をそのままにガラスだけを高性能ガラスに替える方法です。

この記事では、両者の違いを解説しつつ、メリット・デメリットや費用面を比較。どちらを選ぶべきか検証していきます。
断熱性や防音性、補助金など最新情報も踏まえて、後悔しない選択のポイントをご紹介します。

どっちが良いのか、内窓とガラス交換の基本知識

内窓とは、既存の窓の室内側に新しいもう一つの窓(サッシとガラス)を取り付けるリフォームです。二重窓になることで窓と窓の間に空気層ができ、断熱や防音効果が高まります。一方、ガラス交換は、窓枠をそのままにして、割れたガラスや単板ガラスを複層ガラス(ペアガラス)や真空ガラスなどの高断熱ガラスに取り替える工事です。

このように、内窓は窓を二重にする方式、ガラス交換は窓枠はそのままにしてガラス性能を上げる方式で、それぞれ特徴があります。
内窓は工事が簡単で1日程度で済むことが多く、窓ごとに施工できるため部分的な対応が可能です。ガラス交換は既存枠を利用するため開口部そのものは変わらず、掃き出し窓など開閉頻度の高い窓でも使い勝手は変わりません。

また、窓枠が古いアルミサッシの場合、内窓でもガラス交換でも枠部分の断熱性は変わりませんが、どちらも窓ガラス部分の性能向上には有効です。施工方法や仕上がりも異なるため、用途や予算に応じて選ぶことになります。

内窓とガラス交換、それぞれのメリット・デメリット

内窓のメリット

内窓(二重窓)設置の最大のメリットは、断熱性能と防音性能が大幅に向上する点です。既存の窓との間に空気層ができることで、熱の出入りを抑制。夏の暑さや冬の冷気を室内に伝えにくくし、冷暖房効率がアップします。また結露も抑えられ、室温差が大きい冬場でも窓ガラス面に結露が出にくくなります。防音面でも、外側の窓と内窓との二重構造が外部音を遮断しやすく、道路沿いや線路付近など騒音が気になる部屋に効果的です。

さらに、内窓は工事が比較的手軽で、複雑な大がかりな改修をせずに施工できるのもメリット。窓を丸ごと交換する場合に比べて、工期が短く費用を抑えやすいケースが多いです。最近では窓一つあたりの補助金額が大きい省エネ支援制度の対象にもなっており、補助金を活用すれば大幅に自己負担を減らせる場合もあります。

内窓のデメリット

一方で内窓にはデメリットもあります。内窓を付けると、室内側にもう1枚窓が増えるため開閉の手間が増えます。ベランダに洗濯物を干す際や窓の換気をする時には、外窓と内窓の両方を開け閉めする必要があり、慣れないと面倒に感じる人もいます。また、窓掃除の対象が増えるので手入れの手間も増えます。

さらに、内窓は窓枠の内側に取り付けるため既存の窓台が狭くなります。窓際に置いていた植木や装飾が置きづらくなったり、レースカーテンなどの寸法が合わなくなることがあります。また、窓の形状によっては設置できない場合もあります。特に横にスライドする引き違い窓以外では、内窓が干渉して開閉できなくなる場合があるため、施工前に確認が必要です。

ガラス交換のメリット

ガラス交換のメリットは、操作性や視界の良さがそのまま維持できる点です。窓枠やサッシは現状のまま変更しないので、室内からの景観や日当たりが内窓で工事するよりも変わりません。また、内窓のように2枚の窓を開け閉めする必要はなく、一枚の窓を開閉するだけで済むので、使い勝手はこれまでとほとんど同じです。

断熱効果については、既存のシングルガラスを最新の複層ガラスや真空ガラスに交換することで一定の効果が得られます。特に真空ガラスは厚みが約6mmと薄く、既存のアルミサッシにも追加工事なしで収まるため、見た目を変えずに高断熱化できるのが特徴です。また、補助金制度ではガラス性能を上げる場合も対象になりますので、条件次第で一定の支援を受けられます。

ガラス交換のデメリット

ガラス交換のデメリットは、窓枠部分の断熱性能が向上しないこと。特に古いアルミサッシの場合、サッシ枠自体が熱橋となって冷気を伝えやすいため、窓ガラスだけ高性能にしてもサッシ周りの結露や冷気は残ってしまいます。真空ガラスを使った場合でも同様で、ガラス自体は高断熱ですが枠の冷えは解消されません。

また、ガラス交換では通常の丸ごと窓交換(サッシ交換)に比べて断熱効果そのものは抑えめです。単板から複層に替えるだけでは、内窓設置と比べると防音効果や断熱性の向上は控えめと言えます。さらに、複層ガラスは厚みが増すので既存の窓枠に入らない場合はアタッチメントが必要になりますし、網戸が使えなくなる可能性もあります。真空ガラスはこの厚み問題を解消しますが、価格が高価で施工費用も内窓より割高になることが多い点が挙げられます。

費用と補助金で比較

リフォームを検討する際、費用面は大きな判断要素です。内窓設置とガラス交換では、工事費用や利用できる補助金制度に大きな違いがあります。まず工事費用自体は、窓1枚あたりで見ると交換作業が必要になる内窓の方が高くなることが多いですが、補助金を活用すると実質負担額に差が出るケースがあります。

例えば、幅1600×高さ1800mmの引き違い窓の場合の事例では、
内窓取付(高性能な真空ガラスを使用)…工事費約18万3000円、補助金約11万2000円、実質負担約7万1000円
ガラス交換(同じく真空ガラスへ交換)…工事費約15万円、補助金約2万円、実質負担約13万円

工事内容 内窓設置+真空ガラス ガラス交換(真空ガラス)
工事費用 約18万3千円 約15万円
補助金額 約11万2千円 約2万円
自己負担額 約7万1千円 約13万円

この例では、内窓設置の方が補助金額が大きく実質負担が少なくて済んでいます。これは、2024~2025年の住宅省エネ支援策(先進的窓リノベ事業)で、内窓(高性能枠+高断熱ガラス)への補助が優遇されているためです。実際、国家補助制度ではサッシだけでなく内窓工事にも数万円から数十万円の補助が出る場合が多く、条件が合えば費用対効果が高まります。

とはいえ、ガラス交換は工事自体がシンプルで、施工期間が短い点も魅力です。補助金も地域や工事内容によって異なるため、見積り時に必ず確認しましょう。なお最近では、YKK APなどが真空ガラス入りの内窓製品を発売し、断熱性能をさらに引き上げています(例:熱貫流率1.1W/㎡K)。このような製品は最高グレードの補助対象になりやすいため、予算内で最新技術を導入したい場合に注目されます。

どちらを選ぶ?おすすめのケース

開閉頻度と日常使い

頻繁に窓を開け閉めする廊下やキッチンなどでは、ガラス交換が向いています。ガラス交換なら操作性が変わらず、気軽に換気できるからです。逆に、寝室や子供部屋のように日頃そんなに開閉しない窓であれば、多少手間が増えても内窓を付ける価値があります。開閉の多さを基準に、使い勝手も考慮しましょう。

断熱・防音重視のケース

防寒や防音効果を第一にしたい場合は内窓がおすすめです。特にリビングや寝室など、家族が長く過ごす部屋や道路沿いなど騒音が気になる部屋では、二重窓の断熱・遮音効果が効果的です。一方、ガラス交換でも高性能ガラス(真空ガラスやLow-E複層)を選べば断熱効果は上がりますが、音の面では内窓ほどの改善は見込めません。優先度を考えて選びましょう。

住宅環境や補助金で考える

マンションや築年数の浅い住宅では、すでにアルミで断熱付きのサッシが使われていることもあります。その場合、ガラス交換でも効果を得やすい可能性があります。また、賃貸物件では内窓が付けにくいケースもあるため、管理規約も確認しましょう。逆に戸建ての一戸建て住宅では、内窓設置で断熱性能が大幅に改善する場合が多いです。

そして何より補助金の有無は選択に大きく影響します。最新の補助制度では内窓工事に高額支援が出るケースがあり、予算と得られる補助金額を比較して決めるのもポイントです。実際、同じ費用をかけるなら自己負担を減らせるほうが得策です。以上の点を踏まえて、自宅の使用状況や予算を検討し、内窓とガラス交換のどちらが最適か判断しましょう。

まとめ

内窓とガラス交換はどちらも窓まわりの断熱・節電に有効な工法ですが、特徴や費用が異なります。内窓設置は断熱・防音効果が高く補助金も大きい一方、開閉や掃除の手間が増えます。ガラス交換は使い勝手を大きく変えずに断熱効果が得られますが、枠の断熱性向上は限定的です。

最新の補助制度では高性能内窓への支援が手厚いため、全体的なコストで有利になることが多いです。ただし、開閉頻度が高い窓や予算の都合、建物の条件によってはガラス交換が適する場合もあります。記事で解説した比較ポイントを参考に、住宅環境に合った方法を選びましょう。

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