二重窓、実際にどのくらい防音できるかを徹底解説

騒音に悩む方に注目されている二重窓。外からの音の侵入を防ぎ、室内を静かに保つ効果がありますが、実際にはどの程度音を遮断できるのでしょうか。

この記事では2025年最新情報を踏まえて、二重窓の防音効果を数値や事例で詳しく解説します。快適な住環境づくりの参考にお読みください。

二重窓は防音にどのくらい効果がある?

二重窓(内窓)は、既存の窓の内側にもう1枚窓ガラスを設置することで、防音性能や断熱性能を高めるリフォーム手法です。外部からの音を低減する効果は一般的に非常に高く、目安として10~20デシベル(dB)ほどの遮音性能向上が期待できます。人間の耳では音量が10dB下がると約半分に感じられると言われるため、遮音性能の数値差は体感上大きな変化になります。

※音を10dB下げると耳には「半分」の大きさに聞こえるため、二重窓で音が10dB減少すると、体感上かなり静かになります。

例えば、道路沿いの騒音環境(約80dB)では、通常の窓を閉めただけで室内は約55dB程度に下がりますが(まだかなり騒がしい状態)、内窓を追加するとさらに約15dB下がり、室内は約40dB(図書館内程度の静かさ)になります。このように、外の騒音が80dBから40dBにまで低減できた事例も報告されています。ただし実際の効果は窓の仕様や取り付け状況でも変わるため、以下で詳しく説明します。

以下の表は、外部騒音と窓の状態別の室内騒音レベルの目安です。

外部の騒音レベル 通常の窓(閉めた状態) 二重窓(内窓設置後)
80dB(大型トラックなど) 約55dB
(まだ騒々しい)
約40dB
(図書館程度の静かさ)
60dB(会話や普通の交通音) 約50dB
(一般的な住宅街程度)
約30~40dB
(非常に静か)

騒音とデシベル(dB)の関係

防音性能を考えるには、まず音の大きさの単位であるデシベル(dB)の感覚を理解しておくと参考になります。人が「静かだ」と感じる環境は概ね40~45dB以下であり、普通の道路交通音は60~70dB程度、ヒトの大声や工事音は80~90dBにも達します。10dB下がると音のエネルギー量は約1/10、耳には「半分程度」に聞こえるため、10dBの差でもかなり体感が変わります。

日常生活では、ゼロデシベルを聞くことはありませんが、例えば図書館内は約40dB、静かな住宅街では40~50dB程度です。二重窓は音を10dB以上下げられれば、会話の声を遮断する効果や、外の騒音を大きく緩和する効果が期待できます。

二重窓による防音効果の目安

二重窓で得られる遮音効果の目安としては、実証では外窓だけの状態に比べて約10~20dB程度の音量低減が期待できるケースが多いと言われます。例えば前述のように80dBの外部騒音が40dBまで下がる事例もあり、これは約40dBもの大幅な低減です。一般には20dB程度の低減でも音は4分の1程度に感じられるため、相当静かになります。

ただし、遮音性能は窓のガラス種類や施工条件に左右される点に注意が必要です。一般的な複層ガラスと比較して、専用の防音合わせガラスや厚い樹脂サッシを用いた内窓では、より高い遮音性能が得られます。実際にメーカーの実験では、中間の空気層が十分に取られた二重窓で約40dBの遮音性能を達成している例もあるため、設置環境次第では高い効果が見込めます。

二重窓の構造と遮音の仕組み

二重窓(内窓)は、外窓の室内側に追加で窓枠とガラスを設ける構造です。この二重の窓ガラスの間に空気層が生まれることで、音の振動が弱まります。音が外窓から差し込むとき、まず外窓のガラスで一部が反射、残りが空気層に伝わります。空気層で音波が拡散・干渉することでエネルギーが減衰し、さらに内窓のガラスで残ったエネルギーを遮断します。このように、音が複数のステップで減衰する仕組みが二重窓の基本的な防音原理です。

また、二重窓のこの空気層は防音だけでなく断熱効果も生み出します。外気温の影響を受けにくくなるため、暖房や冷房の効率が上がり、光熱費削減にもつながります。結露抑制や防犯面のメリットもあり、二重窓は総合的に住環境を向上させる効果が期待できます。

二重窓の基本構造

二重窓とは、既存の窓枠の内側にもう一つの窓枠を設置して二重構造にするものです。既存サッシの外側と内窓の二層サッシからなり、窓ガラスが二重になるため簡単に外部の音をブロックできます。樹脂製サッシやアルミサッシを用いた内窓が一般的で、既存住宅にも比較的容易に取り付けられる特徴があります。

この内外二重構造により、ガラス面の振動で発生する騒音を効率よく抑えます。外窓だけの場合に比べ、内窓が音の出入りを2段階で遮断するため、単板ガラス1枚の窓より遙かに高い遮音性能を発揮できます。人目に触れにくい室内側に取り付けるため、見た目を大きく変えずに防音対策が可能です。

空気層が生み出す遮音効果

二重窓の鍵となるのが窓と窓の間にできる空気層です。この空間では音波が拡散・反射し、音のエネルギーが弱まります。自動車のマフラーや銃器のサイレンサーが消音効果を高める“拡張型消音”の原理を利用しているように、開口部に空間を設けることで音が小さくなります。

具体的には、外窓のガラスで通過した音が空気層で拡散し、さらに内窓で反射・吸収されるため、外部から室内へ伝わる音量が大きく減少します。この結果、高い周波数成分の多い音(声や音楽、車両音など)が特に抑制されやすくなります。空気層が厚いほど音の減衰効果が大きくなるため、商品によっては空気層を数センチ以上確保しているものもあります。

防音以外のメリット

二重窓の設置は防音効果だけでなく、断熱・防露・防犯など多くのメリットを同時にもたらします。冬場に暖かい空気が外に逃げにくくなるため、部屋が暖まりやすくなり暖房費を節約できます。また、窓面の温度差が減ることで結露の発生も抑えられます。防犯面では2枚のガラスを破る必要があるため、泥棒対策にも有効です。これらの副次的効果もあわせ持つ点が、二重窓の大きな魅力です。

二重窓で防げる音・防げない音

二重窓は主に空気を伝わって到達する音(空気伝搬音)を効果的に遮断します。一方で、建物の振動を通して伝わる固体音は二重窓だけでは抑えにくい点に注意が必要です。以下で具体例を挙げて、どのような音が防ぎやすいか、またどのような場合は効果が薄れるかを見ていきます。

防ぎやすい音(空気伝搬音)

二重窓が効果を発揮しやすいのは、人の話し声や楽器の音、ペットの鳴き声、車や電車の走行音など、空気を介して伝わる音です。こうした音は窓ガラスを振動させて伝わってくるため、窓と窓の間の空気層によって大きくカットされます。例えば、街なかや幹線道路の騒音、子どもの遊ぶ声などは二重窓設置で落ち着いた音量レベルに軽減される効果が期待できます。

  • 人の会話や楽器音(高音成分が多い音)
  • 車両の走行音や電車の騒音
  • ペットの鳴き声やテレビ・ラジオの音

これらは空気の伝わり方による音なので、二重窓の空気層で抑制されやすくなります。結果として子供の勉強部屋や夜間の静寂確保など、生活音対策に向いています。

防ぎにくい音(固体伝搬音)

一方で、鉄筋コンクリートの構造や床・壁の振動で伝わる「固体音」は二重窓では防げません。例えば、上下階からの足音や家具の移動音、大音量の音楽の低音部などは、建物の骨組みを通じて直接伝わるため、窓をいくら二重にしても効果が限定的です。また外壁自体の隙間から入る音も遮断できません。

  • 階下・階上からの足音やドラム演奏の低音
  • 建物の振動音(壁を通る重機音や大音量音楽の低音)

このような固体音を低減させたい場合は、床室や壁の遮音補強、振動源対策などが別途必要になります。内窓でも低周波数帯の音には限界があることを念頭に置きましょう。

窓以外の音の侵入口

さらに、窓以外から音が漏れる経路もあります。いくら二重窓で窓からの侵入音を抑えても、壁の隙間や換気口、ドアの隙間などから音が入り込めば効果は十分に発揮できません。特に換気システムやエアコンのパイプ穴、壁面の小さな穴などは音が漏れやすい箇所です。

  • 換気口や空調ダクトなど外気とつながる開口部
  • 壁やドアのすき間(特に賃貸物件では建具の隙間などにも注意)

これらも含めて遮音対策を考える場合、隙間をふさぐ吸音材の使用や気密性の高い建材選びが重要になります。二重窓は窓部分の遮音性能を高める有力な手段ですが、家全体の気密性向上と組み合わせるとより効果的です。

二重窓の防音性を高めるポイント

二重窓の遮音性能は、使うガラスの種類や窓同士の間隔、取り付けの気密性などによって大きく変わってきます。ここでは、防音効果をさらに高めるための具体的なポイントをいくつか紹介します。

防音効果を高めるガラスとサッシ

二重窓に使うガラスやサッシの選択は、防音性能に直結します。例えば、厚みのある複層ガラスや防音合わせガラスを用いると、薄い単板ガラスに比べて遮音効果が格段に向上します。また、枠材には樹脂製サッシのように気密性の高い素材を選ぶと、ガラス周りの隙間から音が侵入しにくくなります。

  • 厚いガラス:複層ガラスや防音合わせガラスなど
  • 高気密サッシ:樹脂製サッシや強固な構造のサッシ

これらは建材メーカーでも防音性能の高い製品として推奨されています。厚いガラスはその重量で振動を吸収し、気密性の高いサッシは隙間からの音漏れを防ぎます。

空気層の幅と気密性

窓と窓の間にできる空気層の幅(奥行き)も、防音性に大きく影響します。一般に、空気層が広いほど音波がより拡散・減衰するため、遮音効果が高まります。サッシメーカーの実験では、空気層を数センチ以上(場合によっては8~10cm程度)とることで効果が大きいという結果も報告されています。

  • 空気層を広く取る:窓同士の間隔をしっかり確保する
  • 取り付け時の気密性:すき間なくしっかり設置

取り付ける際は既存窓の歪みや枠のずれが影響しないよう注意が必要です。施工業者に依頼する場合は、内窓を設置する面が平滑かつ枠形状が安定しているか確認し、気密性をできるだけ高めてもらいましょう。

カーテン・吸音材の活用

二重窓だけでもかなりの遮音効果がありますが、さらに室内側で追加対策をすることで快適性を高められます。遮音カーテンやブラインドを併用すると、窓ガラスの反射音を吸収して小さくする効果があります。また、部屋の壁や天井に吸音パネルやタイルを設置すれば、残響音やこもり音も軽減できます。

  • 防音カーテンや遮音シート:窓面からの反射音を抑制
  • 吸音パネルやタイル:室内の音が反響しにくくなる

これらの対策はDIYでも比較的手軽に実施できます。音が室内にこもらないようにすれば、より一層静かな環境が得られ、二重窓の効果が実感しやすくなります。

二重窓と複層ガラスの違い

二重窓(内窓)と複層ガラス(ペアガラス)は、どちらも窓の断熱・遮音性能を高める技術ですが、仕組みや効果が異なります。ここでは両者の違いについてご説明します。

二重窓とは

二重窓は既存の窓の内側にもう一枚窓を取り付ける方法です。外窓(元々の窓)と内窓(後付けの窓)の2層構造になり、それぞれが独立したサッシとガラスを持ちます。このため隙間なく設置できれば、外窓と内窓で2重に音を遮断することが可能です。既存住宅の窓枠を生かして施工できるので、工期も短くコストも比較的抑えられるのが特徴です。

複層ガラスとは

複層ガラス(ペアガラス)は、1つのサッシ枠の中に2枚以上のガラスを組み込んで一体化した窓です。家具のガラスが二重になっており、間に密閉された空気層(またはアルゴンガス層)が挟まれています。新築住宅や窓の交換でよく用いられ、壁面から窓をすっきり取り替えられるというメリットがあります。ただし、サッシは1つしかないので、二重窓ほど開口部全体を二重構造にはできません。

防音性能の比較

防音性能で比べると、同じガラス規格や厚みにおいては二重窓のほうが高い遮音効果を得やすい傾向があります。二重窓は空気層が広く取れるため、音の減衰量が大きくなるからです。下の表は、一般的な複層ガラスと二重窓の防音面の違いを簡単にまとめたものです。

二重窓(内窓) 複層ガラス
遮音性能 高い
(空気層を厚く取れる、約20~30dB以上の低減が可能)
中程度
(単板ガラスより向上、約10~15dB程度)
断熱性能 高い
(断熱・結露防止効果が得やすい)
高い
(新築にも用いられ省エネ基準にも適合)
コスト 比較的安価
(既存窓を生かせば工費も抑えられる)
高め
(窓枠ごと交換のため施工費がかさむ)
施工方法 リフォームに最適
(既存窓の内側に設置)
新築・窓交換向き
(外壁の開口部を塞ぎ直す必要あり)

表からも分かるように、防音重視であれば二重窓が有利です。複層ガラスも防風・断熱では優れていますが、既存住宅におけるリフォーム効果や大きな遮音性能期待という点では二重窓の方が優れています。

どちらを選ぶべきか

遮音を最優先する場合は、二重窓がおすすめです。特に交通騒音や周囲の生活音に悩まされている場合、既存窓の性能を遥かに上回る効果が得られます。一方、新築や全面的な窓リフォーム時には複層ガラスとの組み合わせも有効で、外観や省エネ性を重視するなら選択肢になります。

また、二重窓は設置地点を限定できるため、特に騒音の大きい窓だけ内窓にして対処するなど部分的な対策も可能です。予算・状況に応じて、両者の特徴を理解した上で最適な方法を選びましょう。

まとめ

二重窓は、外窓と内窓の間に空気層を設けることで防音効果を飛躍的に高めます。デシベルで言えばおおむね10~20dB程度の音量低減が得られ、環境によっては外の騒音を40dB以上下げることも可能です(外の80dBが室内で約40dBになる例など)。加えて断熱や結露抑制、防犯強化にもなるため、住宅の快適性を総合的に改善できます。

ただし、低音域の振動音や窓以外の経路から侵入する音には限界があります。二重窓だけで全ての音を絶対にシャットアウトできるわけではないので、用途に応じて防音カーテンや吸音材などと併用するのが効果的です。また、施工時の気密性を高めることやガラスの選定など、ポイントを押さえればさらに静かな環境が実現できます。

総合的に見ると、二重窓は騒音対策として非常に優れた方法です。特に鉄道や幹線道路沿いなど外部騒音が大きい住環境では、内窓を設置することで大幅な静音化が期待できます。関心のある方は窓リフォームの専門業者に相談したり、窓のリノベ用補助金制度を活用したりして賢く導入することをおすすめします。

特集記事

TOP
CLOSE